『ブレンド・S』
こんにちは。更新頻度から目を背けているRespterです。
今日は『ブレンド・S』について書きます。
この作品は喫茶店日常系とでも言うべき作品であるが、喫茶店で接客する5人がそれぞれの「属性」に従ったキャラを演じるという(メイド喫茶的な)設定になっており、その属性はそれぞれ
- ドS
- ツンデレ
- 妹
- お姉さん
- アイドル
の5つである*1。
ここで着目するべきはこれらの属性が、基本的にそのキャラクターの見た目、正確には見た目の萌え属性*2、に由来していることである。
主人公の場合がいまいち分かりにくいのがアレなのだが、金髪ツインテールを見たらなんとなくツンデレが組み合わされそうだと思ってしまうことはないだろうか。見た目がロリならば妹キャラだろうと思ってしまうことはないだろうか。
この作品では、そういう先入観を持って見たときに抱きがちなイメージは、あくまでも喫茶店で"演じている"キャラに押し込められていて、接客以外でのキャラクターは全く別なイメージを抱かせるように描写されている。
すなわち『ブレンド・S』は、(オタクであれば容易に想像できる)過去のオタク系作品によって作られてきた「テンプレ」を意図的に利用しつつも、あくまでも"演じた"キャラであるとして「テンプレ」からあえて逸脱しようとする作品であると言えるだろう。
5人の演じるキャラは萌え要素としてはよくあるキャラ設定で、その設定を文字で見ただけである程度萌えを感じる人がいてもおかしくはないだろう。ならばそのキャラを喫茶店で演じれば、お客さんが喜んでくれることは約束されている。
ということはすなわち「そういうキャラを出しておけば、作品が売れるでしょ?」ということでもあるのではないか。
いや、オタク文化全般においてそういう「売る」ためのキャラ設定が行われているように私には思われるが、そういうキャラ設定をあくまでも"演じている"とする『ブレンド・S』は、そういう風潮に対するアンチテーゼとなっているのではないだろうか。つまり、今のオタク文化のキャラ萌えドリブンな消費に対する冷ややかな批判とも取れるのではないか。
しかしながら、この作品はこのような安易なキャラ萌え批判が読み取れる割に、安易なキャラ萌えに支配された日常系という形で発表されているのが非常に面白いところである。
麻冬さんの誕生日に『ブレンド・S』について更新するというやつやって満足しています。おわり。